國體護持總論
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著書紹介

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産業廢棄物の概要

このやうな自立再生論の構想が、現在の世界の技術水準等から推定して實現可能な射程範圍に入つてきたことを、いくつかの事項毎に例證する。

例へば、現在、自然分解しえず、また、自然分解に長時間を要する生産物資のうち、主に流通過程でしか使用されない包裝・梱包などの流通用製品(プラスチック容器、梱包資材、包裝紙など)については、生産段階において再生の前提となる回收を豫定してをらず、その回收も消費者意識に賴らざるを得ないほど制度的に困難であり、その「廢棄物(拜歸物)」が生態系に及ぼす惡影響は甚大なものがある。いくつかの課題を殘しつつも自然分解して無害化する代替品の開發がなされてゐるのであるから、不分解物の流通用製品の生産を段階的に中止して分解物製品に代替させるべきであるが、これについても再生循環の技術が日進月歩で開發されてゐる。

一般的に、過去において、再資源化や無害處理が困難な廢棄物豫定製品は、「適正處理困難物」といふ意味で通稱「テッコンブツ」とも呼ばれ、現在これに屬すると指摘されてゐるのは、①電氣冷蔵庫、②電氣洗濯機、③テレビ・パソコン、④タイヤ、⑤發泡スチロール、⑥乾電池、⑦強化プラスチック(FRP)、⑧ベッド、⑨自轉車、⑩オートバイ、⑪マットレス、⑫スプレー缶、⑬螢光管、⑭注射器・輸血バッグ、⑮使ひ捨てガスボンベ、⑯浴槽、⑰紙おむつ、⑱消火器、⑲天ぷら油、⑳ステレオなど、衣食住の生活全領域に廣がつた大量消費目的の工業製品である。廢棄物總量の增大が産業社會の進歩發展のバロメーターとする生産至上主義は、さらに「高速化」し、必然的に、過剰かつ大量の「生産」を促進させる。この「過剰生産」とその擴大再生産を支へて促進させるのが「過剰消費」である。ところが、「實效消費」ないしは「實質消費」の增大には限界がある。そこで考案されたのがマスメディアを介した廣告宣傳業による「過剰消費は美德であり、社會の進歩發展の象徴である。」とか、「廢棄物の量は文化生活のバロメーターである。」との理念に基づく洗腦教育である。これは、コピーライターなどと呼ばれる生産至上主義の走狗をして、手を變へ品を變へてマスメディアを通じて、あたかも生鮮食料品を扱ふかのやうな過剰な工業製品等の日常的なモデルチェンジと慢性的な誇大廣告により、過剰な奢侈消費を「美德」であると錯覺させるやうに繰り返し國民に學習させて洗腦し、情緒的かつ煽動的な過剰消費性向を定着させる。

これによつて、廢棄物總量の增大こそが「進歩」のバロメーターであるとの生産至上主義による過剰消費のための再生産を行なはせ、「自轉車操業社會」に脱落させてしまつたのである。このやうな惡循環を斷ち切るためには、煽動消費を許容し增大させてきたマスメディアと大手廣告宣傳企業の解體と共に、「テッコンブツ」の生産中止と代替製品の開發への努力が必要となる。

古來より、孔雀明王の信仰があつたが、これは、孔雀が毒草や毒蟲、毒蛇を食しながら美しい姿を保つてゐることから、人の三惡(殺、盜、淫)をも呑食して諸惡諸病痛を除くことを願ふものである。現在では、重金屬やヒ素などの有害廢棄物を食べて體内で處理し無害化して排泄するミミズなどの蟲も發見されてゐる。これと同じやうに、毒性のある鹽素系化合物などの毒物を無害有益の再生處理ができる畫期的な技術革新は、近い將來において必ずや實現しうるはずである。

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