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連載:千座の置き戸(ちくらのおきど)【続・祭祀の道】編

第百六十八回 飽和絶滅の危機 その十二

ほやのきが はげしくしげる そのはてに さくらほろびて ともにつひゆる
(ほやの木(宿り木)が激しく茂るその果てに桜(宿主)滅びて共に潰ゆる)


武漢ウイルスが、武漢ウイルス研究所で作られたものであることがほぼ確かなことであることは、香港大学のイェン・リーモン博士が指摘してゐます。


ウイルスの塩基配列は、ウイルスの来歴を示す「指紋」のやうなもので、これが武漢ウイルス研究所由来のものであることが明らかになつたのです。


中共では、その情報を隠蔽し独占してきたため、この感染症対策が、他国よりも一歩抜き出でてゐるのは当然でした。


武漢ウイルス研究所では、平成14年(2002)に、SARS流行後においてSARSの実験と研究をしてきました。

そして、平成25年(2013)に、雲南省で発見されたRaTG13のコロナウイルスの研究によると、武漢ウイルスと遺伝情報が96,2%まで一致してゐました。


平成30年(2018)に、武漢ウイルス研究所を視察したアメリカの外交官は、「高度に訓練された技術者が不足してゐる。」として、武漢ウイルス研究所で危険なウイルスを扱ふには安全性に問題があると報告し、レベル4の研究所を完全に稼働することが困難であると指摘してゐたのです。


支那の広東省から雲南省にかけての山岳地帯は、インフルエンザ、SARS、武漢ウイルスなどウイルスが発生してきた「ホット・スポット」で、SARSも広東省で発生しました。


武漢ウイルスとの遺伝情報の近似性を比較すると、さきほどの雲南省のキクガシラコウモリから発見されたRaTG13では96.2%、広西チワン族自治区のセンザンコウコロナGXOL5)では85.2%、広東省で発見されたセンザンコウコロナ(GD/PIL)では85.5%です。


ところが、WHOは、武漢ウイルス研究所から由来したとの可能性は極めて低いと発表しました。これに世界は驚きました。恐ろしく非科学的である上、極めて中共擁護の政治的なもので、全く信用できるものではありません。


つまり、WHOに、お前は誰だ(who)と質問したら、China(支那)だと答へたことになります。


そして、いづれにしても、中共の有害性は、これに止まりませんが、世界の脅威となる感染症は、武漢ウイルスだけではなく、この武漢ウイルス騒ぎに隠れて、人類の未来を決定づける決定的な問題が等閑になつてゐるのです。


その問題とは、抗生物質問題です。


それは、ジム・オニール・レポート(2016年)に示されてゐます。


エドワード・ジェンナーが、牛痘が人間の痘瘡に対する免疫を作ることを発見して種痘法を発見したときから、ワクチン開発の歴史が始まりましたが、その後のワクチン研究は、迷走を続けてゐます。

現代のワクチンは、生ワクチンから大きく外れて、遺伝子工学的な手法が主流となつて、人間の免疫の機序から大きく外れてきました。


その危険性については、メディアは警鐘をならさず、ワクチンができたら武漢ウイルスは終息するなどと、極めておめでたいワクチン信者を増産してゐますが、これを意図的に仕組んでゐる集団によつて政府や医学会は乗っ取られてゐますので、これではこれまでと同じ過ちを繰り返すことになるでせう。


そして、世界の感染症対策が抱へてゐる問題は、それだけではなく、致命的といふべき問題があります。それが抗生物質問題なのです。


アレクサンダー・フレミングが、ペニシリンといふ抗生物質を発明しましたが、この抗生物質の開発研究の歴史と現状においても、もつと大きな問題を抱へることになつたのです。


それは、平成28年(2016)8月25日のことです。


インドで脚の付け根を骨折して現地で入院治療を受けた後に帰国した70歳の女性患者がネバダ州の病院で入院しましたが、グラム陰性かん菌の一種である肺炎かん菌に感染してゐると診断されました。

しかし、その病院で取り扱ふ14種類の抗生物質が全く効かなかつたのです。そして、アメリカの抗生物質には全部で26種ありますが、これらがすべて効かないことが解つたのです。


これにより、アメリカの感染症医療関係者は、大パニックに陥りました。


多剤耐性菌といふレベルではなく、スーパー耐性菌が出現したことが解つたのです。


これまでも、薬剤耐性(AMR)の深刻化が叫ばれてゐました。

抗生物質が全く効かないのです。薬剤耐性菌の恐怖は、2050年で世界で年間1000万人死亡し、これが最大の死因となると予測されてゐます。

これは、先進国と途上国の区別がなく、その損害は100兆ドルになるとの予測があります。


感染する細菌がペニシリンへの耐性を学習して耐性菌となります。

平成28年(2016)時点で、アメリカでは、抗生物質の80%は家畜の飼料に使用されてゐます。

家畜の環境は、まさに3密で、家畜は、工業製品のやうな食料生産機械です。


そのため、抗生物質は、成長促進(食糧増産)のためであり、病気の治療に対してではなく、病気の予防のために使用されます。

そして、家畜の腸内で耐性菌が生まれ、フンとともに排出され土壌や水を介して、陸と海の全世界の生態系に広がります。


慶応大の渡邊力教授は、昭和39年(1964)に発表した論文で、「耐性は母細胞から次世代の細胞へ縦に伝はるだけでなく、同じ世代の間で水平にも伝搬する。」と述べました。

つまり、R因子(Rプラスミド)は、染色体DNAだけでなく、遺伝情報を異種間で伝達することができるといふのです。


いま、世界の医療課題としての危機として指摘されてゐるのは、①気候変動、②効能を失ふ抗生物質、③生活習慣病の増加とされてゐます。


このうち、②の問題は、これからは、抗生物質のない時代に戻るといふことを意味します。感染症で治療もできずに普通に人が死ぬ時代になるといふことです。


グラム陰性かん菌による感染症の切り札である抗生物質コリスチンに耐性を持つ遺伝子MCRが平成27年(2015)11月に特定されました。


これは、支那で出現しました。MCR-1です。


これが1年の間に、5大陸30か国に広がつたのてす。これにより、ついに、抗生物質の時代は終はつたといふ現実を殆どの人は知らないのてす。


未だに、武漢ウイルスのことだけが話題となり、感染症対策の根本問題が認識されてゐません。


それほど感染症対策に携はる多くの者の医学的知見が低いといふことでもあります。

些末な武漢ウイルス騒ぎで振り回され、感染症対策の根本問題についての警鐘を専門家の殆どが鳴らさないのです。医学は死滅したも同然です。


動物(家畜)には人間に使ふ抗生物質を使はないといふルールが必要ですが、もう手遅れです。


平成29年(2017)、コリスチンの飼料への使用を支那は、やつと禁止しました。しかし、経済優先しか考へない支那が、これを守つてゐるとは到底信じられないのは、武漢ウイルスの対応を見ただけでも明らかなのです。

南出喜久治(令和3年4月1日記す)


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