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連載:千座の置き戸(ちくらのおきど)【続・祭祀の道】編

第百八十二回 反ワクチン・反マスク訴訟 その四

くすりには くすしちからを そなへども いまはさはりの ものとまがへり
(薬には奇し力を備へども今(現代)は障りの物(毒物)と紛へり)


木原功仁哉弁護士は、兵庫1区の衆議院選挙で大健闘しました。


選挙のことは全くの素人で、無名の無所属の候補者であり、準備期間が皆無に等しかつたのに、投票率約50%の兵庫1区で、約3.4%の7174票を得ました。


もし、これが全国政党(全国政治団体)として選挙を行つたとすると、全国有権者数の約1億人のうちの投票率約50%であれば、有効投票者数5000万人の3.4%は、170万人に相当し、れいわ新撰組に匹敵する得票を得たことになります。


政治団体のうち、所属する国会議員(衆議院議員又は参議院議員)を5人以上有するものであるか、近い国政選挙で全国を通して2%以上の得票(選挙区・比例代表区いづれか)を得たもの」を政党と定めてゐますが、木原功仁哉の得票率は、全国レベルで考へれば、政党要件を充分に満たす数字です。


来年7月の参議院選挙や、いつ解散になるか解らない次の衆議院選挙では、今回のことを踏まへて、大い期待できる結果となつたことは、わが国の政治の刷新にとつて大きな光明となりました。


私は、この木原功仁哉の戦ひに、参加した多くの支援者のうちの1人として、これから計画してゐることが多くあります。


それは、次の国政選挙の準備を始めることは勿論のこと、選挙訴訟を提起する予定があるからです。


わが国の現行制度では、国民に投票義務を課してゐませんが、諸外国では投票義務を課してゐる国もあります。


わが国にある憲法としては無効な占領憲法第12条には、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」とありますので、参政権は国民の義務であり、国民に投票義務を認めてゐると解釈できるのです。


現行の小選挙区比例代表並立制は、私が平成8年に発表した『参政権の閉塞的情況』で述べたとほり、多くの問題点があります。


それは、第1に、投票率低下が止まらずに、50%程度かそれ以下に低迷する点です。


その結果、僅かな有権者数だけで当選し、死票と棄権票が圧倒的な比率を占めることになるからです。


投票率が低下し続ける理由は、選挙権者には、選択しうる政策を掲げる候補者がないためです。


今回の兵庫1区でも、当選した者は、兵庫1区の総有権者数の20%未満で当選したのです。


せめて、投票率50%以上における得票率50%以上、すなはち、25%超でなければ当選者が選挙民の信任を得たとは到底言へません。


この25%超基準のルールが国民主権下での選挙において認められる当選基準でなければならないのです。

これが満たされない選挙は、国民主権を反映したものとは言へず無効なのです。


また、小選挙区比例代表並立制では、被選挙権の二重付与の違憲性があります。


重複立候補で、ゾンビ復活当選できるといふ現行の選挙制度について、これまでの提起されてきた訴訟では、被選挙権の二重付与の違憲性については、最高裁判所大法廷平成11年11月10日判決(民集53-8-1577)や最高裁判所第三小法廷平成13年12月18日判決(民集55-7-1712)などでも、意識的に全く論じられたことはなかつたのです。


占領憲法第15条第1項は、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」とし、同条第3項は「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。」とあります。


そして、同第44条には、「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。」とあります。


普通選挙といふのは、選挙権及び被選挙権の付与において、平等でなければなりません。


選挙権において、一票の格差が問題とされるほどの厳格さが求められるのであれば、被選挙権においても平等でなければなりません。無所属の立候補者は、比例区で重複立候補はできません。重複立候補ができる政党の立候補者とは、被選挙権において不合理な差別があるのです。


さらに、現行の選挙制度には、致命的とも言へる大きな問題点があります。


それは、選挙供託金制度です。高額な選挙供託金が必要とされ、一定以上の比率の得票が得られないときは、没収されるといふ没収制度です。


これは、公職選挙法第92条第1項第1号によるものですが、この供託金制度及びその没収制度についても、占領憲法第15条第1項及び第3項に違反し、第44条但書に違反するのです。


被選挙権の二重付与や選挙供託制度については、これらの占領憲法違反の他に、国際人権自由権規約(B規約)第25条違反や、一般的意見15及び16にも違反してゐます。


占領憲法第98条第2項は、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」とあり、この条約の法的効力は、法律に優先することになりますので、これらの国際条約に違反する公職選挙法第92条第1項第1号は無効といふことになります。


そもそも、選挙供託金没収制度は、立法目的と立法事実から大きく懸け離れたものです。


選挙供託金制度の目的が、他人の選挙の妨害、他の候補者と紛らはしい氏名による立候補、主として商品や産物の宣伝を行う立候補、宗教その他の組織の力量を示すためだけの立候補、政治的主張や政策の提示を全く欠く立候補、公務員の身分を解くための立候補などの不正な目的による立候補を防ぐことにあるとされますが、このやうな不正な目的で立候補することを防ぐためには、供託金の金額を多くすることによつて防げるものではありません。


また、もし、この供託金を没収する場合であつても、そのやうな不正な目的によつて立候補したことについて国が立証して没収しなければならない筈です。


木原功仁哉弁護士のやうに、そのやうな目的が全くなく、真摯に選挙した者の供託金を没収するといふことは理不尽にも程があります。


真摯に選挙運動をしたとしても、当選するに必要な得票が得られないことだけを理由として没収するのは、落選したことに対する「懲罰」に等しいものです。それこそが不合理な差別であり、選挙の平等、公平を侵害します。


結果的に落選したことを批判される謂はれはありません。落選したことは、単に選挙の結果であつて、これを批判され、懲罰的に供託金を没収されるといふのは、立候補者の平等原則に明らかに反してゐます。


落選したことを「懲罰」として没収されることは、選挙制度についての占領憲法の規定に違反したもので、違憲無効なのです。


ましてや、既成政党は、政党助成制度によつて多額の政党交付金を取得し、それによつて選挙供託金の財源として使ふことがてきますが、政党交付金が支弁されない弱小の政治団体政党とは、とんでもない差別があるのです。


私は、これらの違憲性を踏まへ、今回の選挙が無効であるとして選挙訴訟を提起する予定です。

南出喜久治(令和3年11月1日記す)


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