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連載:千座の置き戸(ちくらのおきど)【続・祭祀の道】編

第百九十五回 反ワクチン・反マスク訴訟 その十

くすりには くすしちからを そなへども いまはさはりの ものとまがへり
(薬には奇し力を備へども今(現代)は障りの物(毒物)と紛へり)


去る4月26日午前11時30分、東京地裁531法廷で反ワクチン訴訟の第3回口頭弁論がありました。


いつものとほり、厳戒警備体制で、この事件の傍聴券を取得した人以外は、その他の事件関係者以外の一般人は東京地裁には入ることができません。

前回同様に、警察や警備担当者その他の裁判所職員が入口付近に大勢たむろし、厳戒態勢がとられてゐました。


小雨が煙る中、大勢の熱心な支援者が東京地裁前に早くから集まつてゐました。本当にありがたいことです。


私と木原弁護士、そして原告の中村篤史医師が出廷するのは前回と同じでした。集まつてもらつた支援者の前で、私はこの日の予定と予測について話をしました。


まづ、こんな非科学的な理由で行はれる異常警備を止めさせなければなりません。去る3月28日に、ついに国立感染症研究所(NIID)は、「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染経路について」と題する次のやうな見解を発表しました。


「人は、咳、くしゃみ、会話、歌、呼吸などの際に、鼻や口からさまざまな大きさや性状をもった粒子を空中に放出する[1-5]。粒子はその大きさや含まれる液体の量によって空中での振る舞いが異なる。液体を含んだ大きな粒子は、放出されてから数秒から数分以内に落下するが、小さな粒子や乾燥した粒子は、空中に数分から数時間にわたって浮遊する[2-5]。従来、これらの粒子については大きさや性状に応じて飛沫やエアロゾルと呼ばれてきた [4,5]。

SARS-CoV-2は、感染者の鼻や口から放出される感染性ウイルスを含む粒子に、感受性者が曝露されることで感染する。その経路は主に3つあり、①空中に浮遊するウイルスを含むエアロゾルを吸い込むこと(エアロゾル感染)、②ウイルスを含む飛沫が口、鼻、目などの露出した粘膜に付着すること(飛沫感染)、③ウイルスを含む飛沫を直接触ったか、ウイルスが付着したものの表面を触った手指で露出した粘膜を触ること(接触感染)、である[1,2]。」


しかし、①のエアロゾル感染は、令和元年初めの武漢ウイルス騒ぎが始まつた当初から指摘されてきたものですが、これまでNIIDは、当該ウイルスの感染経路として、上記②の飛沫感染と上記③の接触感染のみを認め、①のエアロゾル感染を意図的に認めてこなかつたのですが、遂に嘘がばれて認めざるを得なくなつたのです。

そして、これまで何もなかつたかの如く、突如として、しかも、こつそりと、3年後の令和4年3月28日になつて、①のエアロゾル感染を第一順位の感染経路として認めたのです。


これまで、NIIDは、当初からエアロゾル感染(空気感染)が感染経路の主流であることを認識してゐた筈ですが、あへてこれを否定し続けて虚偽の発表をし続けたのは、飛沫感染防止策としてのマスク着用、接触感染防止策としての手指消毒といふ政府の誤つた方針を虚構で固めて権威付けるためのもので、極めて悪質なことです。


マスク着用と手指消毒を奨励しても、感染拡大が止まらないことの矛盾が露呈したことから、遂に科学的知見に基づいて、これまでの虚偽の発表を訂正せざるを得なくなつたといふことです。


感染防止のためには、三密(密閉、密集、密接)を避けることが最も有効であるとすれば、エアロゾル感染を防ぐために必要なことは、「換気」のみであつて、マスク着用と手指消毒などは全く意味がありません。


マスク着用が必要であるとする見解であつても、それは飛沫感染防止のために必要であるとするのですから、相手に飛沫しないソーシャルディスタンスの距離が保たれ、声の大きさなどを控へた配慮をすれば、マスク着用は必要ではなくなります。


マスク、フェイス・ガード、アクリル板、手指消毒は、エアロゾル感染には全く無力であり、これによつて別の疾病を引き起こす危険すらあります。


つまり、特に、三密状態であつても、頻繁な会話と相互接触を予定してゐない場所の場合は、換気さへ徹底されてゐるならば、マスクも手指消毒なども感染予防のために有効なものではないのです。


討論会、観客との一体感を演出するライブなどのやうに、多人数による会話や発声による飛沫と相互の接触を予定しうる場所であれば、飛沫感染と接触感染の可能性があることになりますが、電車、乗り合ひバス、飛行機などの公共交通機関や、映画館などのやうに、多人数による会話や接触が予定されてゐない場所では、飛沫感染と接触感染の可能性は極めて少なく、エアロゾル感染を防ぐために「換気」がなされてゐれば感染予防としては充分であつて、マスク着用と手指消毒などは全く意味がないことになるのです。


エアロゾル感染の防止のためには、マスクは全く無力です。アクリル板による遮蔽やフェイス・ガードなども全く無力です。マスクの荒い編み目では、超微粒のエアロゾルやウイルスは簡単に素通りします。大魚を捕まへる漁網でプランクトンは捕獲できないのです。


飛沫感染を防止するためには、発言者の多い集会においても、密接状態で飛沫がかかる特別な場合は別として、飛沫がかからない距離を保つてゐるのであれば、マスク着用は全く不要であり、エアロゾル感染防止のために必要なことは一にも二にも換気であつて、必要換気量である1人当たり30?/hを確保すれば足りるのです。


このやうな説明などをして、定刻が迫つたので、法廷へと向かひました。

いつもと同じやうに、エレベータホールに大勢の警備員がたむろし、エレベータの中にも警備員が乗り込み、三密状態です。法廷の前にも数十人の警備員が居ます。


入廷すると、傍聴席は26名の傍聴人が着席して居ました。殆どはマスクを付けて居ません。傍聴席の後ろには十数人の警備員が居ます。超過密状態です。


しかし、気が付くと、法廷の天井にある換気扇は動いてゐません。そこで、書記官に尋ねました。換気はされてゐるのか、と。すると、解りません、と答へたので、直ぐに確認してほしいと要望しました。すると、そのために慌てて走り回つた挙げ句、書記官は、換気の状況を確認してお答へしてから裁判官が入廷することでよいでせうかと言ふので、裁判長に入廷してもらつてから直接に質問するので、直ぐに入廷してほしいと言ひましたので、直ぐに入廷するのかと思つたものの、10分も遅れて裁判官3名が入廷してきました。

おそらく、私が裁判長に直接質問をすると言つたために、その「対策会議」をしてゐたのでせう。


遅くなりましたといふ裁判長の謝罪があつた後、開廷前に裁判所に尋ねたいことがあると言つて、この法廷では換気がなされてゐるのか、と裁判長に聞くと、精一杯換気をしてゐます、と言ふので、ここには傍聴人以外にも、警備員が十数名が居て、この狭い法廷に50人も居るが、換気が充分ではなく、扉を開放してゐても通気性が全くないので、裁判所の感染症対策は誤つてゐると指摘して、先程の国立感染症研究所(NIID)の見解を踏まへて説明しました。


私は、全員がマスクをして、その上にフェイスガードを付けて法廷の後ろに立つてゐる十数人の警備員は何の必要があつてここに居るのか。三密を避ける必要があるのに、こんな「溶接工」のやうな出で立ちで立つてゐる必要があるのか、と問ひ質しましたが、裁判長はまともに答へられません。


その上で、裁判長は、換気も不十分なので法廷での滞在時間を短縮するために、早く審理をして終はらせたいので協力してほしいと言ふので、私は、迅速な審理を求めてゐる意味を取り違へられては困る。被告国に対して、訴状等で主張してゐる事実の認否をさせるやうに訴訟指揮権を発動すべきであることが迅速な審理のために必要なことであると申し入れると、裁判長は、被告国の代理人に対して、認否されますか、と尋ね、被告国の代理人が、しません、と答へると、認否を拒否されてゐるので、訴訟要件が備はつてゐるか否かについての判断をするために、これにて審理を終結し、来る8月2日(火)午前11時30分にこの法廷で判決を行ふと宣言したのです。出来レースです。


私は、国家賠償請求に関して、このやうな裁判所(被告国の機関)が過剰警備と誤つた感染症対策によつて裁判を受ける権利の妨害がなされたことの追加主張をするので、弁論を続行されるべきであると申し立てたのですが、裁判所はこれを受け入れず、予定通り判決をすることになりました。


予測しうる判決としては、①訴訟要件が全部満たされてゐるとする中間判決、②訴訟要件が全部満たされてゐないとする終局判決のいづれか、あるいはその中間形態(一部認容)ですが、何も認否がなされないまま、延々と引き延ばしをされることが予測されることからすると、一歩前進と捉へることができます。

南出喜久治(令和4年5月1日記す)


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